当番を楽しく回す!小学生が主体的に取り組む「ファミリークルー」アイデア
日々の育児、お疲れ様です。お子様が小学生になり、少しずつ家庭での役割分担や当番をお願いしたいと考えている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、「誰が何をやるかでもめる」「お願いしてもなかなか動いてくれない」「結局親がやってしまう」といった状況に、頭を悩ませることもあるかと存じます。
子どもたちに「やらされている」と感じさせることなく、責任感を持って主体的に家庭のタスクに取り組んでもらうにはどうすれば良いのでしょうか。ここでは、育児タスクを遊びに変えるゲーミフィケーションの視点から、「当番」や「役割分担」を家族みんなで楽しめるゲーム「ファミリークルー」に変えるアイデアをご紹介します。
「ファミリークルー」基本の仕組み:見える化と役割決めを楽しむ
「ファミリークルー」とは、家族一人ひとりを「クルー(乗組員)」に見立て、それぞれの役割(当番)をゲーム感覚でこなしていく仕組みです。まずは、基本的なルール作りから始めましょう。
- 「クルーリスト」と「ミッションリスト」の作成:
- 家族それぞれの名前を書き出した「クルーリスト」を作成します。
- 家庭で行う当番や役割(食事の準備、後片付け、お風呂掃除、ゴミ出し、洗濯物たたみ、植物への水やりなど)を具体的に書き出した「ミッションリスト」を作成します。リストは子どもと一緒に考えるのがおすすめです。イラストを添えるなど、視覚的に分かりやすくすると良いでしょう。
- 担当ミッションの決定方法をゲーム化:
- 誰がどのミッションを担当するかを決めるプロセス自体を遊びにします。
- くじ引き: ミッション名を書いた紙を丸めて、みんなでくじを引きます。
- ルーレット: ミッション名をルーレットアプリや手作りルーレットに書き込み、回して決めます。
- カードゲーム: ミッションカードを作り、順番にドラフト会議のように選んだり、神経衰弱のようにペアを探したりするアレンジも可能です。
- 担当期間は、毎日交代、週替わりなど、家庭の状況に合わせて決めます。
- ミッション遂行の「見える化」:
- 誰がどのミッションを担当しているか、そしてミッションが完了したかを「見える化」します。
- 担当表: ホワイトボードや大きめの紙に、クルー名と担当ミッションを書き出し、マグネットやシールで表示します。
- チェックリスト: ミッションが完了したらチェックボックスに印をつけたり、完了サイン(〇など)を書き込んだりします。
- ミッションバッジ/担当アイテム: 担当ミッションを表す簡単なイラストや文字を書いたバッジ(厚紙やフェルトで手作りも可能)を身につけたり、担当ミッションに必要なアイテム(例:ゴミ袋、雑巾)に「担当:〇〇」と目印をつけたりするのも、クルー意識を高めるかもしれません。
この基本の仕組みだけでも、誰が何をするかが明確になり、子どもたちは「自分の担当ミッション」として責任を感じやすくなります。また、担当決めをゲームにすることで、少し苦手なミッションでも前向きに取り組むきっかけになることが期待できます。
応用アイデア:レベルアップやチームワークでさらに盛り上げる
「ファミリークルー」をさらに楽しく、継続的なものにするための応用アイデアをいくつかご紹介します。
- 「クルーレベルアップ」システム:
- ミッションを完了するごとにポイントやスタンプを付与します。
- 貯まったポイントに応じて「クルーレベル」が上がっていくように設定します(例:レベル1「ルーキークル」、レベル2「ベテランクルー」、レベル3「マスタークルー」など)。
- レベルアップのご褒美として、家庭内で使えるちょっとした特権(例:週末に好きなデザートを選べる、ゲーム時間を5分延長できる、家族が見るテレビを一本選べる)や、親子の特別な時間(例:一緒にゲームをする、いつもより長い読み聞かせ)を設定すると、子どもたちのモチベーション維持につながります。
- レベルが上がると、少し難易度の高いミッションに挑戦できるようにするのも良いでしょう。
- 「チームミッション」で協力プレイ:
- 個人で担当するミッションとは別に、家族全員で協力して達成する「チームミッション」を設定します(例:リビング全体の掃除、庭の手入れ、みんなで一緒に料理を作る)。
- チームミッションが成功したら、家族みんなで楽しめるご褒美を用意します(例:一緒に映画を観る、いつもより豪華な夕食、お出かけ)。
- 困難なミッションに取り組む他のクルーを助けたら、「ヘルプポイント」として追加ポイントを付与するルールを加えると、協調性が育まれるきっかけにもなります。
- 「シークレットミッション」要素:
- 時々、リストにはない「シークレットミッション」を親が用意します(例:机の上をきれいに片付ける、玄関の靴を揃えるなど、普段は特定担当がないがやってほしいこと)。
- シークレットミッションを見つけて自主的に取り組んだクルーには、ボーナスポイントを与えます。これは、指示される前に自分で気づいて行動する力を育むのに役立つかもしれません。
実践のヒント:導入と継続のコツ
「ファミリークルー」を家庭に導入し、継続していくためにはいくつかのポイントがあります。
- 子どもと一緒にルールを作る: 最初から親が一方的に決めるのではなく、子どもたちの意見や希望を聞きながら、担当したいミッションやご褒美、ルールなどを一緒に決めましょう。自分たちで決めたルールなら、主体的に取り組む意欲が高まります。
- 最初は簡単なことから始める: いきなり多くのミッションを割り当てるのではなく、子どもが無理なく取り組める簡単なミッションから始めましょう。成功体験を積むことが大切です。
- 完璧を求めすぎない: 子どもたちのミッション遂行は、大人のようにはいかないかもしれません。完璧でなくても、取り組んだ過程や努力を認め、褒めることを大切にしてください。
- 声かけを工夫する: 「〜しなさい」という命令形ではなく、「〇〇クルー、今日のミッションをお願いできるかな?」「△△クルーのミッション、完了したらチェックをお願いします」のように、ゲームの言葉遣いを意識して声かけをすると、子どもたちも楽しみながら応じやすいでしょう。
- うまくいかない時は見直す: ルールが合わない、特定のミッションに負担が偏るなど、運用していく中で問題が出てくることもあります。その際は、家族みんなで話し合い、ルールやミッションリストを見直す柔軟な姿勢を持ちましょう。
- ご褒美は感謝の気持ちも込めて: ポイントやモノのご褒美だけでなく、「ありがとう、おかげで助かったよ」「〇〇がミッションをやってくれたから、家族みんなが気持ちよく過ごせるね」といった感謝の言葉やポジティブなフィードバックを惜しみなく伝えましょう。これが、子どもたちの内発的な動機付けにつながります。
まとめ
家庭での当番や役割分担は、子どもたちが家族の一員としての責任感を学び、協調性を育む貴重な機会です。しかし、これを単なる「やらされること」にしてしまうのではなく、「ファミリークルー」のようなゲームとして取り入れることで、子どもたちは楽しみながら、そして主体的に家事や家族のサポートに参加できるようになります。
「ファミリークルー」のアイデアは、あくまで一つの提案です。ご家庭の状況やお子様の年齢、性格に合わせて、自由にアレンジして取り入れてみてください。この取り組みを通じて、親子のコミュニケーションが深まり、家族みんなで協力して家庭を心地よく保つことの楽しさを共有できることを願っています。育児タスクにゲーミフィケーションを取り入れて、お子様の成長を促しながら、家族みんなで前向きに日々の暮らしを楽しみましょう。