「練習マスターズ」で楽しく上達!小学生の習い事習慣をゲーム化
習い事の練習、お子さんのやる気を引き出すには?
お子さんが楽しんで始めた習い事も、日々の練習となると話は別、というご家庭は少なくないかもしれません。毎日の楽器の練習、スポーツの基礎トレーニング、学習塾の宿題など、親御さんが「練習しなさい」と声をかけないと、なかなか机や練習場に向かわない、始めても集中力が続かない、といった課題に直面することは多いものです。
せっかくの習い事が、お子さんにとって負担になったり、親子の間での声かけがプレッシャーになったりするのは避けたいところです。どのようにすれば、お子さん自身が練習に前向きに取り組み、「やらされる」のではなく「やりたい」という気持ちを持ってくれるようになるのでしょうか。
ここでは、育児タスクを遊びに変える「ゲーミフィケーション」の考え方を取り入れ、お子さんの習い事の練習習慣を楽しく身につけるための具体的なアイデアをご紹介します。ゲームの要素を活用することで、練習が単なる義務ではなく、達成感や成長を実感できるポジティブな体験に変わる可能性があります。
練習をゲームに変えるアイデア集
習い事の種類や、お子さんの性格、年齢によって効果的なアプローチは異なります。いくつかのゲーム化のアイデアを組み合わせたり、アレンジしたりしながら、お子さんにぴったりの方法を見つけてみましょう。
アイデア1:練習時間を「ポイント」に変える「練習ポイント制」
最もシンプルで分かりやすいのが、練習時間や内容に応じてポイントを加算していく方法です。
- 仕組み:
- 例えば、「10分練習するごとに10ポイント加算」といった基本的なルールを設定します。
- ただ時間をこなすだけでなく、「集中してできた」「目標を意識して取り組めた」といった内容に応じてボーナスポイントを設定することも効果的です。
- 特定の難しい課題をクリアしたら追加ポイント、といった特別ルールを加えることも可能です。
- 見える化:
- 専用のポイントシート(紙、ホワイトボード)を作成し、練習後にポイントを記入します。お子さん自身に記入させることで、達成感が増します。
- スマホアプリや簡単な表計算ソフトを使って記録するのも良いでしょう。
- 報酬:
- 貯めたポイントは、あらかじめ決めておいた様々な「報酬」と交換できるようにします。
- 物理的なおもちゃやゲームソフトといったものの他、「好きなテレビ番組をもう30分見られる」「家族で一緒に遊ぶ時間」「お子さんが選んだおやつ」など、経験や時間に関する報酬も喜ばれます。
- 交換できる報酬のリストと必要なポイント数を一覧にしておくと、お子さんのモチベーション維持につながります。
この方法は、練習の「量」や「質」を定量的に評価し、具体的な成果として示すことができるため、目標設定や達成感を実感しやすい点が特徴です。
アイデア2:成長を「レベルアップ」で表現する「スキルツリー・レベルアップ」
RPGのように、練習の積み重ねや特定の技術の習得を「レベルアップ」や「スキル習得」として可視化する方法です。
- 仕組み:
- 練習日数や練習時間に応じてキャラクター(お子さん自身でも良いですし、好きなキャラクターでも構いません)のレベルが上がる、といったルールを設定します。
- 習い事の具体的なスキル(例:ピアノで特定の曲を弾けるようになる、水泳でクロールで25m泳げるようになる、漢字テストで満点を取る)を「スキル習得」として記録します。これをツリー状にして、「このスキルを習得したら次のスキルに挑戦できる」といった仕組みにすることも可能です。
- 見える化:
- 壁に貼る大きなレベルアップシートや、手書きのスキルツリー図がおすすめです。レベルが上がるごとに色を塗ったり、シールを貼ったり、スキル名にチェックを入れたりします。
- 報酬/達成感:
- レベルアップ時には「〇〇マスターLv.〇」といった称号を与えるなど、名誉的な報酬を設定します。
- 新しいスキルを習得したら、家族に披露する機会を設けるなど、成果を共有することで達成感が高まります。
- 特定のレベルやスキル習得を目標に、少し大きめの報酬を設定することも考えられます。
この方法は、長期的な成長を段階的に実感できるため、継続的なモチベーション維持に繋がりやすい点がメリットです。
アイデア3:練習内容を「クエスト」にする「練習クエスト・ミッション」
毎回の練習内容を、ゲームの「クエスト」や「ミッション」に見立てて設定します。
- 仕組み:
- 今日の練習内容を具体的な「クエスト」として提示します。「今日のクエスト:〇〇の曲を間違えずに3回弾こう」「今日のミッション:ドリブル練習を10分間、目標を意識して行おう」など、お子さんのレベルに合わせて内容を調整します。
- 少し難しいクエストには、クリアした時の報酬を高く設定するなど、難易度に応じたメリハリをつけることも可能です。
- 見える化:
- 「本日のクエストリスト」を作成し、クリアするごとにチェックを入れていきます。
- 一週間単位や一ヶ月単位の「ビッグミッション」を設定し、達成度を記録するのも良いでしょう。
- 報酬/達成感:
- クエストクリアごとに小さなポイントやスタンプを与える、今日のクエストを全てクリアしたら好きな遊びの時間を少し増やす、といった日々の達成感を積み重ねる報酬設定が効果的です。
- 特に難しいクエストをクリアした際には、大きな声で褒めたり、家族みんなで喜びを分かち合ったりすることが大切です。
この方法は、毎回の練習に具体的な目標ができ、短期間での達成感を味わいやすい点が利点です。タスクが明確になるため、お子さんも取り組みやすくなります。
アイデア4:練習の軌跡を「記録ボード」で彩る「練習ジャーニーボード」
練習したことそのものを記録し、努力の軌跡を可視化することで、継続する力と自信を育む方法です。
- 仕組み:
- 練習した日、練習時間、練習内容などを、専用のボードやカレンダーに記録していきます。
- 見える化:
- シンプルなカレンダーにシールを貼る、練習時間に応じて棒グラフを塗り進める、練習内容を絵や簡単な文字で書き込むなど、様々な方法があります。
- カラフルなペンやシールを使うと、ボード自体が楽しい見た目になります。
- 効果:
- 毎日の記録が積み重なることで、「こんなに頑張っているんだ!」という自信につながります。
- サボってしまった日があっても、「次は頑張ろう」という前向きな気持ちになりやすくなります。
- 親御さんと一緒にボードを見ながら、「この一週間よく頑張ったね」「こんなに記録が増えたね」と振り返ることで、親子のコミュニケーションも生まれます。
この方法は、直接的な報酬がなくても、「継続する」ことそのものに価値を見出しやすくなる点が優れています。特に低学年のお子さんや、習慣化が難しいと感じているお子さんに有効かもしれません。
ゲーミフィケーションを実践する上でのヒント
これらのアイデアを家庭に取り入れる際には、いくつか押さえておきたいポイントがあります。
- お子さんと一緒にルールを決める: 一方的に親がルールを決めるのではなく、お子さんの意見を聞きながら、一緒にゲームのルールや報酬内容を決めましょう。「どうすればもっと面白くなるかな?」「何ポイント貯まったら何ができるようにする?」など、一緒に話し合うことで、お子さんはゲームを「自分ごと」として捉えやすくなります。
- 目標設定は無理なく、でも少し挑戦的に: 最初から高すぎる目標を設定すると、達成できない場合にモチベーションが下がってしまいます。お子さんの現在のレベルや状況に合わせて、少し頑張れば達成できるような目標からスタートし、慣れてきたら徐々にレベルアップしていくのがおすすめです。
- 報酬は多様に、内発的な動機付けも意識: 物理的なご褒美だけでなく、親子の特別な時間、お子さんが好きなことができる自由時間、家族からの賞賛の言葉など、様々な種類の報酬を用意しましょう。また、「できるようになった!」という成長の実感を言葉にして伝え、「練習することで、こんな素晴らしいことができるようになるんだよ」と、内発的な動機付けに繋がる声かけを意識することも大切です。
- 失敗や停滞も受け入れる: ゲームのように全てがスムーズに進むわけではありません。練習をサボってしまったり、目標を達成できなかったりする日もあるかもしれません。そんな時も、「どうして難しかったのかな?」「明日はどうすればできるかな?」と、責めるのではなく、一緒に原因を考えたり、次に向けて励ましたりする姿勢が重要です。ゲームの世界でも、失敗は次に活かすための経験です。
- 楽しむことを第一に: 何よりも大切なのは、練習が楽しい時間になることです。厳しく管理しすぎるのではなく、親御さん自身も一緒にゲームを楽しむような気持ちで関わることで、よりポジティブな雰囲気で練習に取り組めるようになるでしょう。
まとめ
お子さんの習い事の練習習慣は、多くのご家庭にとって共通の課題かもしれません。しかし、少しの工夫で、この課題を親子で一緒に楽しめる「ゲーム」や「冒険」に変えることができます。今回ご紹介したポイント制、レベルアップ、クエスト、見える化ボードといったアイデアは、あくまで一例です。
お子さんの興味や習い事の内容に合わせて自由にアレンジし、世界に一つだけの「練習マスターズ」ゲームを作り上げてみてください。ゲームを通して、お子さんが練習そのものに価値を見出し、自分の成長を実感し、「できた!」という喜びを積み重ねていくことを願っています。親子のコミュニケーションを大切にしながら、お子さんの「やる気」というスキルを楽しくレベルアップさせていきましょう。