復習を「記憶力アップゲーム」に!小学生が学んだことを忘れないゲーミフィケーション
日々の学校での学習や宿題、お家での自主学習。お子さまは一生懸命取り組んでいるはずです。しかし、せっかく覚えた内容も、時間が経つと少しずつ忘れてしまうということは、よくあります。
「この前やったばかりなのに、もう忘れちゃったの?」
そう感じた経験は、多くの親御さんにあるかもしれません。新しいことを学ぶだけでなく、学んだことをしっかりと「定着」させる復習は、次の学習への土台作りのために非常に大切です。ですが、この「復習」、子どもにとっては単調で面白くない作業に感じられることも少なくありません。「やろうね」と声をかけても、なかなか気が乗らない様子に困ってしまうこともあるのではないでしょうか。
そこで今回は、この「復習」というタスクにゲーミフィケーションの考え方を取り入れ、お子さまが自ら進んで取り組みたくなるような、楽しく「記憶力アップ」を目指せるゲームアイデアをご紹介します。遊び感覚で楽しみながら、学んだ知識をしっかりと定着させていきましょう。
復習を楽しく変えるゲーミフィケーションアイデア
復習というと、問題集をもう一度解き直したり、ノートを見返したりといった方法が一般的かもしれません。これらを少し工夫するだけで、子どもたちが夢中になるゲームに変えることができます。ここでは、家庭で簡単に試せる具体的なアイデアをいくつかご紹介します。
アイデア1:「知識のクイズバトル」
これは、親子や兄弟姉妹で対戦形式のクイズを行うシンプルなアイデアです。学んだ内容を元に親がクイズを作成し、子どもが解答者になります。
- 準備するもの: 紙、ペン、タイマー(任意)
- 進め方:
- 前日や前週に学校で習ったこと、宿題でやったことなど、復習したい内容を決めます。
- 親がその内容に関するクイズを作成します。例えば、国語で習った漢字の読み書き、算数で習った計算方法、理科の用語や実験内容、社会の出来事などです。
- クイズ形式で子どもに出題します。正解したらポイントを与えます。
- 難易度に応じてポイントを変えたり(簡単な問題は1ポイント、難しい問題は3ポイントなど)、制限時間を設けたりするとゲーム性が増します。
- ポイントを合計して、一定の点数に達したらクリア、あるいは親と点数を競うバトル形式にしても良いでしょう。
- このアイデアのポイント:
- 競争要素: 対戦形式にすることで、子どもの負けず嫌いの気持ちを刺激し、集中力が高まることがあります。
- 即時フィードバック: 問題の正誤がすぐに分かるため、どこを理解していないか、どこを覚え直す必要があるかが明確になります。
- 知識の引き出し練習: 学んだことを思い出す練習になります。
- 応用例:
- 子ども自身に問題を作成させる(教えることで理解が深まります)。
- ホワイトボードやタブレットアプリを使って視覚的に分かりやすくする。
- 友達や親戚とオンラインでクイズ大会を開く。
アイデア2:「記憶の宝探しマップ」
学んだ単元やテーマを一つの「宝島」に見立て、重要な知識を「宝物」として集めていくゲームです。
- 準備するもの: 大きめの紙や模造紙、ペン、色鉛筆、シールやスタンプなど
- 進め方:
- 復習したい単元やテーマ(例: 国語の物語文「ごんぎつね」、算数の「割合」、理科の「植物の育ち方」など)を決めます。
- 大きな紙の中心にそのテーマを描き、周囲にその単元で覚えるべき重要なキーワードや概念(例: 登場人物、あらすじ、公式、用語、実験結果など)を「宝物」のイラストやアイコンとして書き出します。
- 子どもがそれぞれの「宝物」(キーワードや概念)について、親に説明したり、関連する問題を解いたりします。
- 親が「理解できている」「説明できている」と判断したら、その宝物にチェックマークをつけたり、シールを貼ったりします。
- マップ上の全ての宝物にチェックがついたら、その単元の復習は完了!ご褒美(例えば、次の学習で使う文房具を選ぶ権利、好きなキャラクターのシールなど)を設定しておくと、モチベーションに繋がります。
- このアイデアのポイント:
- 達成感の見える化: 宝物が一つずつ埋まっていく様子を見ることで、子どもは達成感を感じやすくなります。
- 全体像の把握: 単元の重要な要素が一目で分かり、学習内容の整理に役立ちます。
- 自分のペースで: 競争ではないため、子どもの理解度に合わせてじっくり取り組むことができます。
- 応用例:
- 好きなゲームの世界観やキャラクターを取り入れてマップを飾る。
- 学習内容をカード化し、集めたカードをマップに貼っていく方式にする。
- デジタルノートアプリなどで同様のリストやマップを作成する。
アイデア3:「教える先生ゲーム」
子どもに「先生役」になってもらい、親や兄弟に学んだ内容を「教える」タスクをゲーム化します。
- 準備するもの: なし(必要に応じてホワイトボード、参考書など)
- 進め方:
- 子どもに、最近学んだことの中から「先生になって教えたいこと」を選ばせます。
- 子どもが先生役として、親(生徒役)にその内容を説明します。
- 親は生徒になりきり、「ここがよく分からないな」「これはどういう意味?」などと質問をします。
- 子どもは質問に答えたり、例を挙げたりして、分かりやすく教えるように努めます。
- 説明が終わった後、親は先生役の子どもにフィードバックを与えます。「とても分かりやすかったよ」「この例えが良かったね」など具体的に褒めます。また、「もう少しここを詳しく教えてくれるともっと良いかな」といった改善点も伝えつつ、先生役としての「評価」をポイントや星の数などでつけます。
- 先生役の「評価点」に応じて、ポイントやご褒美を設定します。
- このアイデアのポイント:
- アウトプット練習: 学んだ内容を自分の言葉で説明することで、理解度が深まり、記憶が定着しやすくなります。
- 自信に繋がる: 誰かに教えるという経験は、子どもの自信を育みます。
- コミュニケーション: 親子の対話が増え、学習内容だけでなく子どもの考え方や興味関心を知るきっかけにもなります。
- 応用例:
- ぬいぐるみやペットを生徒役にする。
- 他の家族に発表会形式で教える機会を作る。
- 教える内容を小さなレポートやポスターにまとめる活動と組み合わせる。
ゲーミフィケーションを実践する際のヒント
これらのアイデアを家庭で取り入れる際に、より効果的で、お子さまが継続して楽しめるようにするためのヒントをいくつかご紹介します。
- 子どもの意見を聞く: どんなゲームならやってみたいか、どんなルールが良いかなど、ぜひお子さまの意見を取り入れてみてください。一緒にルールを考える過程も楽しい時間になります。
- 完璧を目指さない: 最初から全てを完璧にこなそうとせず、まずは一つ簡単なゲームから試してみるのが良いでしょう。続けることが大切です。
- 「ご褒美」を工夫する: ポイントが貯まったらもらえるご褒美は、物理的なもの(お菓子や小さなおもちゃ)だけでなく、「一緒に好きな映画を見る」「公園で思いっきり遊ぶ」「夕食のメニューを一つ決める権利」など、親子の時間や特別な体験にすると、より温かい思い出にも繋がります。
- 親も楽しむ姿勢を見せる: 親が楽しそうに参加することで、子どもも安心してゲームに入りやすくなります。一緒に笑ったり、驚いたりする姿を見せるのも大切です。
- 柔軟にルールを見直す: 子どもの反応を見て、ルールが難しすぎる、簡単すぎる、あるいは飽きてきたようであれば、遠慮なく変更や調整を行ってください。大切なのは、ゲームを通じて楽しく復習することです。
まとめ
学んだことの復習は、子どもの学習において非常に重要なプロセスですが、単調になりがちで、子どもが敬遠することもしばしばあります。しかし、今回ご紹介したようなゲーミフィケーションのアイデアを取り入れることで、この復習というタスクを子どもが「やらされる」ものではなく、「自らやりたい」と感じる楽しい活動に変えることが可能です。
クイズ形式で知識を試したり、宝探しのように目標を達成したり、先生役になって知識を共有したり。これらのゲームを通じて、子どもたちは楽しみながら記憶力を高め、学んだ内容をしっかりと自分のものにしていくことができます。
育児における日々のタスクにマンネリを感じている方も、ぜひ復習にゲーミフィケーションを取り入れてみてはいかがでしょうか。お子さまの「分かった!」という喜びの声や、積極的に学ぶ姿を見られるかもしれません。親子で一緒に楽しみながら、学びを深めていく時間は、きっとお子さまの成長にとっても、親子の関係にとっても、かけがえのないものになるはずです。