食事のマナーを「テーブル探検隊」に!小学生が楽しく身につけるゲーミフィケーション
食事のマナー習慣化は難しい?ゲーミフィケーションで解決
毎日の食事の時間、お子さまの食事中のマナーについて気になることはありませんか?肘をついている、おしゃべりに夢中になる、姿勢が悪いなど、成長とともに様々な振る舞いが目につくようになるかもしれません。「何度言っても聞かない」「注意すると雰囲気が悪くなる」といったお悩みをお持ちの保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
食事中のマナーは、社会性が育まれる大切な要素の一つですが、子どもにとっては退屈な「守らされるルール」に感じられがちです。一方的に注意するだけでは、子どもの反発心を招いたり、食事そのものが嫌いになったりする可能性も考えられます。
そこで有効なのが、育児に「ゲーミフィケーション」を取り入れるアプローチです。退屈なルールを遊びやゲームの要素に変えることで、子どもはやらされている感覚ではなく、自ら楽しみながらマナーを意識し、身につけていくことができます。この記事では、食事中のマナー習慣化に役立つ、具体的なゲーミフィケーションアイデアをご紹介します。
テーブルマナーをゲーム化する具体的なアイデア
ここでは、家庭で実践できる食事中のマナーゲームをいくつか提案します。お子さまの年齢や興味に合わせて、自由にアレンジしてみてください。
アイデア1:テーブルマナービンゴ
最もシンプルで始めやすいアイデアです。
- 目的: 具体的なマナー行動を意識し、実践する習慣をつける。
- 準備するもの: ビンゴカード(紙にマス目を書き、中にマナー項目を書く、または無料テンプレートを利用)、ペンやスタンプ。
- 遊び方:
- ビンゴカードのマス目に、食事中に意識してほしいマナー項目を具体的に書き込みます。(例: 「いただきますを言った」「背筋を伸ばして座った」「くちゃくちゃ音を立てずに食べた」「お茶碗やお椀を持って食べた」「肘をつかずに食べた」「口に物が入っているときはお話ししない」など)
- 食事中、リストにあるマナー項目を実践できたら、自分で、または保護者の方がマス目を塗りつぶしたり、スタンプを押したりします。
- 縦、横、斜めのいずれか一列が揃ったらビンゴ達成です。
- ビンゴの数に応じて、事前に決めた「報酬」を得られるようにします。
- ポイント: マナー項目は一度に多くせず、最初は3x3など少なめのマス目から始めると達成感を得やすいです。達成した項目を子ども自身にチェックさせることで、自主性を促せます。
- 応用例: マス目ごとに点数を設定し、合計点を競う「マナーポイントラリー」にする。家族全員で参加し、チームでビンゴを目指す。
アイデア2:マナー探偵ゲーム
観察力と実践力を同時に育むゲームです。
- 目的: 良いマナー行動を具体的に理解し、自ら実践しようとする意欲を高める。
- 準備するもの: 特になし、または簡単な記録シート。
- 遊び方:
- 食事中、「マナー探偵」になって、自分や他の家族の「良いマナー行動」を見つけます。(例: 「パパがお箸をきれいに置いたのを見つけた!」「〇〇ちゃんが静かにモグモグ食べたのを聞いた!」)
- 良いマナー行動を見つけたら、食事の後などに発表します。発表した人や、発見された本人がポイントを獲得できます。
- 最も多くの良いマナー行動を見つけた探偵、または最も多くの良いマナー行動を実践していた人が「今日のマナーマスター」となります。
- ポイント: 他者の良い点を見つける練習にもなります。否定的な言葉を使わず、「〇〇ができたね!」と肯定的なフィードバックを重視します。
- 応用例: 「悪いマナーを見つけたら(ただし注意するのではなく)静かにカードを見せる」「特定の良いマナー行動(例: 「ごちそうさま」をきちんと言う)ができた回数をカウントする」など、ルールをアレンジできます。
アイデア3:食事レポートチャレンジ
自分の行動を振り返り、客観的に評価する力を養います。
- 目的: 自分のマナー行動を意識的に振り返り、改善点を見つける。
- 準備するもの: 簡単なレポート用紙やノート、ペン。
- 遊び方:
- 食事が終わった後、簡単な「食事レポート」を自分で作成します。
- レポートには、「今日できたマナー」(例: 「背筋を伸ばした」「肘をつかなかった」)、「次に頑張りたいマナー」(例: 「お茶碗を持って食べる」)などを記入します。
- 保護者の方は、レポートを読んでコメントを添えたり、一緒に振り返ったりします。
- 継続できた日数や、目標にしたマナーができた回数に応じてポイントやスタンプを与えます。
- ポイント: 子ども自身が自分の行動を「見える化」することで、自己評価と目標設定の練習になります。完璧を求めず、小さな進歩を褒めることが大切です。
- 応用例: レポートをカラフルに飾り付けたり、絵を描いたりする要素を加える。家族でレポートを共有し、互いに励まし合う。
ゲームを実践する上でのヒント
これらのアイデアを家庭に導入する際には、いくつか考慮しておきたい点があります。
- 子どもの意見を聞く: どのようなゲームなら楽しめそうか、ルールはどうするかなど、お子さまと一緒に決めることで、主体的に取り組む意欲が高まります。
- 完璧を求めすぎない: 最初から全てのマナーができるようになることを期待せず、小さな一歩や努力を褒めることから始めましょう。失敗しても責めず、次にどうすれば良いかを一緒に考える姿勢が大切です。
- 報酬は多様に: ポイントやスタンプで物理的なものと交換するだけでなく、「好きな絵本を読んでもらえる時間」「一緒にカードゲームをする」「週末のおやつを一緒に選ぶ」など、子どもが喜ぶ特別な時間や体験を報酬にするのも効果的です。金銭的な報酬や高価なものは避け、努力の承認や親子のコミュニケーションに繋がるものがおすすめです。
- 無理なく継続する: 最初は張り切って始めても、毎日完璧に続けるのは難しいかもしれません。週に数回から始める、特定の期間だけ集中的に行うなど、家族のペースに合わせて無理なく続けることが重要です。
- 家族で楽しむ雰囲気: 保護者の方自身もゲームを楽しむ姿勢を見せることで、子どもも安心して取り組めます。家族全員で協力したり、互いの良い点を見つけ合ったりすることで、食卓がより明るく楽しい場になるでしょう。
まとめ
食事中のマナー習慣化は、根気がいる育児タスクの一つです。しかし、ゲーミフィケーションの要素を取り入れることで、子どもたちは「やらされている」感覚から解放され、「自分からやってみたい」という気持ちでマナーを身につけていくことが期待できます。
今回ご紹介したアイデアは、あくまで出発点です。ぜひ、お子さまの個性や家庭の状況に合わせて自由にアレンジし、オリジナルの「テーブル探検隊」ゲームを作り上げてみてください。ゲームを通じて、食卓が学びの場であると同時に、家族の笑顔とコミュニケーションが溢れる楽しい時間になることを願っています。