タスクを計画的にこなす!小学生の「段取り力」アップゲームアイデア
日々の育児、特に小学生のお子様を持つ親御様にとって、宿題や翌日の準備、お手伝いなど、様々なタスクをいかに子ども自身が主体的に、そして計画的にこなせるようになるか、というのは大きな課題の一つではないでしょうか。声かけをしてもなかなか腰を上げなかったり、始めても段取りが悪く時間がかかってしまったりと、つい手を出してしまったり、小言が増えてしまったりすることもあるかもしれません。
子どもに「自分で考えて動く力」や「計画的に物事を進める力」を身につけさせたい。でも、どうすればその意欲を引き出せるのか、具体的なアプローチが分からない。もしそうお考えでしたら、育児に「ゲーム」の要素を取り入れる、つまりゲーミフィケーションのアプローチが有効かもしれません。
この記事では、小学生のお子様がタスクを計画し、段取りよく実行する力を楽しみながら育むためのゲームアイデアを具体的にご紹介します。
なぜ「計画・段取り」をゲーム化するのか?
小学生になると、学校や習い事、家庭での役割など、自分で管理すべきことが増えてきます。しかし、子どもは生まれつき計画性や段取り力を備えているわけではありません。これは、経験を通じて少しずつ学んでいくスキルです。
このスキルを楽しく身につけさせるには、「やらされている」という感覚ではなく、「自分で選び、自分で進めている」という感覚が重要になります。ゲーム化することで、タスク遂行そのものが目的の一部となり、達成感や成功体験を通じて、内発的な動機付けを促すことが期待できます。
「段取り力」アップのためのゲームアイデア
ここでは、ご家庭で取り組みやすい具体的なゲームアイデアをいくつかご紹介します。お子様の年齢や興味に合わせてアレンジしてみてください。
アイデア1:タスクデザイナー&クリアリストゲーム
このゲームは、子ども自身にその日や週末にやるべきタスクを認識させ、計画を立てて実行する基本を学ぶためのものです。
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準備するもの:
- 大きめの紙やホワイトボード
- ペンやカラーペン
- シールやスタンプ
- 付箋(タスクを書き出す場合)
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遊び方・ルール:
- タスクの洗い出し: 親子で一緒に、または慣れてきたら子ども自身に、その日(または午前中、午後、週末など、期間を設定)にやるべきタスクをすべて書き出してもらいます。「宿題(国語)」「明日の時間割準備」「犬の散歩」「お風呂掃除」など、具体的なタスクをリストにします。付箋に一つずつ書いて、ボードに貼っていく方法も、タスクの移動や追加がしやすくておすすめです。
- 順番を決める(段取り設計): リストアップしたタスクを、子ども自身に「どの順番でやるとスムーズかな?」と考えさせ、並び替えたり、番号を振ったりしてもらいます。最初は親がヒントを出しても良いでしょう。「先にこれを終わらせると、後が楽になるかもね」「疲れることは最初にやる?最後にやる?」など、考え方を促します。
- クリア!: タスクを一つ終えるごとに、リストにチェックをつけたり、シールを貼ったり、スタンプを押したりします。
- 達成のご褒美: 全てのタスクをクリアしたら、あらかじめ決めておいたご褒美を与えます。これは物理的なものでなくても構いません。例えば、「好きなゲームを30分できる」「一緒に公園に行く」「おやつを一緒に作る」など、子どもが喜ぶ「特別な時間」を設定するのも効果的です。
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期待される効果:
- やるべきことを視覚的に把握できます。
- 自分で考えて順番を決めることで、段取りの感覚が養われます。
- タスクをクリアするたびに達成感を得られます。
- 計画通りに進めることの楽しさを学びます。
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応用例:
- 難易度に応じてタスクにポイントを設定し、合計ポイントで目標達成度を見える化する。
- 「難しいタスク」「時間のかかるタスク」など、タスクの種類を色分けして分類する。
- 週末など、期間が長い場合は、「午前中に〇個、午後に〇個」のように区切って目標設定する。
アイデア2:タイムアタック&時間見積もりチャレンジ
このゲームは、個々のタスクにかかる時間を予測し、時間管理の感覚を養うことを目的としています。段取り良く進めるためには、それぞれのタスクにどれくらい時間がかかるかを把握する力も重要です。
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準備するもの:
- ストップウォッチやキッチンタイマー
- タスクリスト(アイデア1で作ったものなど)
- 記録用のノートや紙
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遊び方・ルール:
- 時間を見積もる: 始める前に、各タスクがどれくらいの時間で終わるか、子どもに見積もり時間を予想してもらいます。「宿題(計算ドリル)は15分くらいかな?」など、具体的に考えさせます。
- タイムアタック!: タイマーをスタートさせて、実際にタスクに取り組みます。
- 時間を計測&記録: タスクが完了したらタイマーを止め、実際にかかった時間を記録します。
- 結果を比較: 見積もり時間と実際にかかった時間を比較します。「予想より早かったね!」「あれ、時間がかかっちゃった理由はなんだろう?」など、結果について一緒に振り返ります。
- 「時間マスター」ポイント: 見積もり時間との差が少ないほど高得点、あるいはボーナスポイントを与えるルールを加えると、予測の精度を高めようという意欲につながります。
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期待される効果:
- タスクにかかる時間の感覚が身につきます。
- 時間を意識して行動する習慣ができます。
- 見積もりと実際を比較することで、自己評価と改善の機会が得られます。
- 複数のタスクの合計時間を予測し、全体の段取りを組む練習になります。
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応用例:
- 複数のタスクを連続して行う「〇〇ルーティンチャレンジ」(例:「帰宅後ルーティンチャレンジ」:手洗い、着替え、宿題開始までを何分でできるか)を設定し、全体のタイムを競う。
- 見積もり時間の合計と、実際に全てのタスクを終えるまでにかかった時間を比較し、計画通りに進められたかを確認する。
実践する上でのヒント
これらのゲームを家庭に導入する際に、いくつか押さえておきたいポイントがあります。
- 最初は大人がリードする: 最初は子どもにやり方が分からないこともあるため、親が一緒にタスクを洗い出し、順番を考える過程をサポートしましょう。「これは先にやった方が忘れにくいね」「これが終わったら、次はこれにしようか」のように、考え方を伝えながら進めることが大切です。
- タスクは具体的に、かつ達成可能な量で: 曖昧なタスク(例:「勉強」)ではなく、「計算ドリルP.10-12」「漢字練習ノート1ページ」のように具体的に指示・設定します。また、一度に大量のタスクを設定すると、子どもが圧倒されてしまうため、最初は無理のない量から始めましょう。
- 成功体験を積ませる: 最初は簡単なタスクから始め、子どもが「できた!」という成功体験を確実に積めるように配慮します。成功が次の挑戦への意欲につながります。
- 完璧を目指さない: ゲームなので、計画通りに進まなかったり、時間がかかりすぎたりすることもあるでしょう。結果だけでなく、計画を立てようとしたこと、取り組んだ過程を褒めることが重要です。
- 子どもの意見を聞く: 子ども自身にルールやご褒美のアイデアを出してもらうと、より主体的に取り組む可能性が高まります。
- 柔軟にルールを調整する: 子どもの反応を見ながら、ルールの変更や新しい要素の追加などを柔軟に行いましょう。飽きてきたら、一時中断したり、別の形式のゲームに切り替えたりするのも良いかもしれません。
- 「ゲーム」を楽しむ姿勢を大切に: 親自身も「ゲーム」として楽しみ、子どもとのコミュニケーションを深める機会と捉えましょう。勝ち負けにこだわりすぎず、親子で一緒に目標に向かう過程を大切にしてください。
まとめ
育児における「計画」や「段取り」といったスキル習得は、一見退屈な訓練のように感じられるかもしれません。しかし、そこにゲーミフィケーションの要素を取り入れることで、子どもたちは遊び感覚で、自ら考えて行動する楽しさを学ぶことができます。
今回ご紹介したアイデアは、あくまでも一例です。これらのヒントを参考に、ぜひご家庭ならではの「段取り力アップゲーム」をデザインしてみてください。子どもたちが主体的にタスクに取り組み、小さな成功体験を積み重ねていく姿を見るのは、親御様にとっても大きな喜びとなるでしょう。育児タスクのマンネリ化を解消し、親子で一緒に楽しみながら、子どもたちの自律性を育んでいきましょう。