書く習慣を「言葉の冒険」に!小学生が自らペンを握りたくなるゲーミフィケーション
育児タスクのマンネリ化に悩む親御さんへ:書くことへの抵抗感を遊びに変えるヒント
日々の育児、お疲れ様です。小学生のお子様を持つ親御さんにとって、宿題の作文や日記、あるいは「もっと自分の気持ちや考えを文章に書いてほしい」といった願いはありつつも、お子様がなかなか筆を進めたがらない、といった状況に直面することは少なくないかもしれません。「書くこと」は、表現力や思考力を育む大切な習慣ですが、「面倒」「何を書けばいいか分からない」と感じているお子様もいらっしゃるようです。
このような「書くこと」への抵抗感を減らし、自らペンを握りたくなるようなきっかけを作るために、ゲーミフィケーションの考え方を取り入れてみてはいかがでしょうか。タスクにゲーム性や遊びの要素を加えることで、お子様の内発的な動機付けを促し、主体的に取り組むようになることが期待できます。
この記事では、「書く習慣」を楽しく身につけるための具体的なゲームアイデアをいくつかご紹介します。お子様と一緒に楽しみながら、表現の「言葉の冒険」に出かけましょう。
「書く習慣」を楽しくゲーム化するアイデア
ここでは、日記や作文といった「書くこと」に関連するタスクをゲーム化するための具体的なアイデアを3つ提案します。お子様の興味や性格に合わせて、アレンジして取り入れてみてください。
アイデア1:物語メーカーチャレンジ
これは、ランダムな要素を使って短い物語を書くことに挑戦するゲームです。何を書けば良いか分からない、というお子様でも、ゲームのルールに従って要素を組み合わせることで、物語作りのきっかけを掴むことができます。
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必要なもの:
- いくつかの要素が書かれたカードや紙片(例:「主人公」「場所」「出来事」「感情」など、それぞれ数種類ずつ用意する)
- 箱や袋
- ノートや紙、筆記用具
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ゲームのルール:
- 箱や袋の中に「主人公」「場所」「出来事」「感情」といったカテゴリーのカードを入れます。
- お子様に各カテゴリーからカードを1枚ずつ引いてもらいます。(例えば、「勇敢なネコ」「古い森」「不思議な光を見つける」「ワクワクする」といった組み合わせになるかもしれません。)
- 引いたカードの要素を全て含めて、短い物語(例:5行以上、100文字以上など、お子様に合わせた目標を設定)を書いてもらいます。
- 書き終えたら、物語を読んで、感想や良かった点を伝え合いましょう。
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ゲーム化のポイントと期待される効果:
- ランダム性: 何が出るか分からないワクワク感が、書くことへの抵抗を減らします。
- 制約の中での創造性: 要素が決まっていることで、かえって創造力が刺激されることがあります。
- 達成感の共有: 書き終えた物語を親が聞いたり褒めたりすることで、達成感と承認欲求を満たすことができます。
- 応用: 引くカードのカテゴリーを増やす、絵を加えて絵本形式にする、家族でリレー形式で物語を紡ぐなど、様々なアレンジが可能です。
アイデア2:毎日のできごと冒険記レベルアップ
日記を書く習慣を、RPGのようにレベルアップしていくゲームに見立てます。「毎日のできごと」を「冒険の記録」として捉えることで、単調になりがちな日記が特別なものに感じられるようになるかもしれません。
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必要なもの:
- 日記帳またはノート
- スタンプやシール、ポイント表、レベルアップ表など、記録を見える化できるもの
- ご褒美リスト(物理的なものだけでなく、特別な時間や活動など)
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ゲームのルール:
- お子様に、その日にあったこと、感じたことなどを日記に書いてもらいます。
- 書いた量や日数に応じてポイントを与えたり、カレンダーにスタンプを押したりして記録を見える化します。(例:毎日書いたら1ポイント、5行以上書いたら追加で1ポイントなど)
- 一定のポイントや日数を達成するごとに「レベルアップ」として、事前に決めたご褒美を与えます。(例:レベル1「見習い冒険家」:好きなシール1枚、レベル5「ベテラン冒険家」:一緒にボードゲームをする時間、レベル10「伝説の記録者」:少し高価な文房具など)
- 内容についても、「面白い表現を見つけた」「登場人物の気持ちがよく書けている」など、良い点を見つけて具体的に褒めることで、追加ポイントや特別な「称号」を与えることも効果的です。
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ゲーム化のポイントと期待される効果:
- 見える化と報酬: ポイントやレベルアップによって成果が目に見えるため、継続するモチベーションにつながります。ご褒美は、物質的なものだけでなく、お子様が喜ぶ特別な体験を取り入れるのがおすすめです。
- 継続性の促進: 毎日少しずつでも取り組むことで、習慣化をサポートします。
- 自己肯定感: 自分の記録が積み重なり、成長していることを実感できます。
- 応用: 週末に1週間の「冒険記」を振り返る時間を設ける、親子で互いの日記を読み合う(お子様が了承した場合)など、コミュニケーションの機会にすることも可能です。
アイデア3:言葉の表現力ハンター
文章の中で面白い言葉や表現を見つけることをゲームにするアイデアです。語彙力を増やしたり、豊かな表現を使うことへの関心を高めたりすることが期待できます。
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必要なもの:
- 書いた文章(日記、作文、物語など)
- 「見つけたい表現リスト」(例:「擬音語・擬態語」「比喩」「感動したこと」「嬉しかったこと」など、テーマ別)
- チェックリストやポイント表
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ゲームのルール:
- お子様に文章を書いてもらいます。
- 書き終えた文章の中から、事前に決めた「見つけたい表現リスト」にある言葉や表現を見つけてもらいます。(例:「雨がシトシト」「雪がキラキラ」「心がドキドキした」「まるで宝石のように」など)
- 見つけた表現の数に応じてポイントを与えたり、リストにチェックを入れたりします。
- 特に面白い、または工夫された表現を見つけた場合は、ボーナスポイントを与えるなど特別に褒めるのがおすすめです。
- 家族で文章を読み合い、「この表現面白いね!」「どうしてこの言葉を選んだの?」などと話し合う時間を設けるのも良いでしょう。
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ゲーム化のポイントと期待される効果:
- 楽しみながら語彙力アップ: 言葉探し自体をゲームにすることで、新しい言葉や表現に興味を持つきっかけになります。
- 表現への意識向上: どのような言葉や表現を使えば、自分の気持ちや状況が伝わりやすいかを意識するようになります。
- コミュニケーション促進: 家族で文章を読み合い、言葉について話し合うことで、表現の楽しさを共有できます。
- 応用: 事前に「今日の目標:擬音語を一つ使う」「比喩を一つ入れてみよう」のようにチャレンジ目標を設定する、テーマを決めて「怒りを表す言葉探し」などを行うことも可能です。
ゲームを実践する上でのヒントと注意点
これらのゲームアイデアを家庭に取り入れる際には、いくつか心がけておきたい点があります。
- お子様と一緒にルールを作る: 親が一方的にルールを決めるのではなく、「どんなゲームなら楽しめそうかな?」「どんなご褒美があったら嬉しい?」などと、お子様と一緒に話し合ってルールを決めるのがおすすめです。これにより、お子様の主体性とゲームへの参加意欲が高まります。
- 強制ではなく提案として: あくまで「書くことをもっと楽しむための遊び」として提案し、「やらなければならないこと」という雰囲気にならないように注意しましょう。「これ、一緒にやってみない?」「面白そうなゲーム見つけたんだけど、試してみる?」といった声かけが良いかもしれません。
- 書く内容よりも取り組む姿勢を褒める: 最初は、書く内容の質よりも、書くこと自体に取り組んだ姿勢や、短い時間でも集中できたことなどを褒めることが大切です。ハードルを低く設定し、小さな成功体験を積み重ねられるようにサポートしましょう。
- 柔軟な運用を心がける: お子様の気分や状況によっては、ゲームがうまくいかない日もあるかもしれません。無理強いせず、一時中断したり、ルールの変更を検討したりするなど、柔軟に対応することが継続のための鍵となります。
- 親も一緒に楽しむ姿勢を見せる: 可能であれば、親も一緒に簡単な日記を書いたり、物語作りに参加したりする姿を見せることで、お子様はより安心して取り組めるようになります。大人が楽しそうに書いている姿は、お子様にとって何よりの刺激となります。
まとめ
「書くこと」は、自己表現の基礎であり、思考力を深める重要なツールです。もしお子様が書くことに苦手意識を持っているようであれば、今回ご紹介したようなゲーミフィケーションのアイデアを取り入れて、そのハードルを下げてみてはいかがでしょうか。
「物語メーカーチャレンジ」で創造性を刺激したり、「毎日のできごと冒険記」で継続する楽しさを感じたり、「言葉の表現力ハンター」で語彙への関心を高めたりと、様々なアプローチが考えられます。これらのアイデアは、あくまで一例です。お子様の興味や家庭の状況に合わせて自由にカスタマイズし、オリジナルの「書く習慣ゲーム」を作り上げてみてください。
ゲームを通して書くことが楽しい経験に変われば、それはお子様の将来にわたって役立つ大切な力となるでしょう。親子で「言葉の冒険」を楽しみながら、お子様の表現力と可能性を広げていく第一歩を踏み出しましょう。